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1981年(昭和56年)ドラフト会議 〜ドラフト概要〜


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この年は、津田恒美(協和醗酵)、田中幸雄(電電関東)、右田一彦(電電九州)の即戦力組と、甲子園優勝投手の金村義明(報徳学園)に注目が集まった。


●「ツネゴン」こと津田恒美(協和醗酵)は希望通り広島カープへ
南陽工高〜協和醗酵。高校3年春、3年夏と、二回甲子園へ出場。春の甲子園は刈谷高、東海大四高を破りベスト8進出。

夏の甲子園は中村弘道(昭和60年南海2位)がエースの宇治山田商を完封シャットアウトで破り初戦を突破。続く二回戦では打線の援護がなく天理に0−1で敗れるも、高校生離れした力強い速球は「大会ナンバーワン投手」と謳われた。

高校卒業後はプロには進まず、社会人・協和醗酵へ入社。協和醗酵在籍3年間で一層力をつけ、ドラフトでは「広島以外は会社に残留」と宣言し、他球団は拒否を恐れて指名せずに無競争でカープ入団。

プロでは入団1年目に11勝をマークし、新人王を獲得。1986年に抑えに転向、「炎のストッパー」とよばれた。1991年、脳腫瘍のため退団。通算成績は、286試合出場、49勝41敗90セーブ、防御率3.31。1993年、32歳の若さで逝去。


●甲子園優勝投手・金村義明(報徳学園高)に近鉄と阪急が競合
報徳学園高のエースとして、高校3年春、3年夏の二回甲子園へ出場。春のセンバツは大府高の槙原寛己(巨人1位)と投げ合い、3−5で敗退。

夏の甲子園は、荒木大輔(ヤクルト)藤本修二(南海)工藤公康(西武)など、後にプロ入りする好投手との投げ合いに勝ち、報徳学園を優勝に導いた。打者としての才能もあり、センバツでは槙原寛己から、夏の選手権では横浜戦で2本塁打を放った。

子供の頃から大の長池選手(元・阪急)のファンで、阪急入りを希望したが、ドラフト会議では近鉄と阪急が競合し、抽選により希望外の近鉄が交渉権獲得。プロ入り後、野手に転向し、通算成績は、1262試合出場し、939安打、127本塁打、打率.258。


●プロ拒否の工藤公康(名古屋電気高)を西武が強行指名
名古屋電気高のエースとして、高校3年夏の甲子園に出場。左から投げ下ろす速球と落差のあるカーブを武器に、初戦の長崎西高戦でノーヒットノーランを達成。続く3回戦では高木宣宏(広島3位)の北陽高と対戦し、延長12回を一人で投げ抜き、被安打4、奪三振21のナイスピッチング。準決勝で金村義明の報徳学園高に敗れたものの、4試合で合計56個の三振を奪い、大会ナンバーワン左腕と称された。

間違いなくドラフト1位級の器であるが、社会人・熊谷組に内定済みでプロ拒否宣言。ドラフト会議での指名はないものと思われたが、ドラフト6位で西武があっと驚く強行指名。当然入団交渉は難航したが、粘り強い交渉の末入団。プロでの活躍は周知の通りで、優勝請負人の異名をもつ。

高校時代の女房役・山本幸二捕手(名古屋電気高)は巨人2位入団。「将来は槙原(大府高〜巨人1位)―山本の黄金バッテリー」と期待も大きかったが、大成せずに終わった。プロ通算成績は、43試合出場、16安打、2本塁打、打率.235。


●春の甲子園で快速球を披露した槙原寛己(大府高)は巨人へ
大府高のエースとして、高校3年春のセンバツ大会に出場。金村義明(近鉄1位)との投げ合いに勝ち、2回戦進出。140キロ半ばの快速球で一躍注目された。夏は愛知大会準々決勝で中京高に1−2で敗退し甲子園を逃す。

ドラフト会議では巨人が1位指名。「びっくりしたが、巨人も希望球団の一つ」と、ドラフト翌日の槙原のコメント。

プロでは2年目の阪神戦で初登板初完封し、華々しいデビューを飾った。平成6年広島戦で史上15人目の完全試合を達成。通算成績は、463試合登板して、159勝128敗56セーブ 防御率3.19。

工藤公康(名古屋電気高)、槙原寛己(大府高)、山本幸二(名古屋電気高)と、甲子園を沸かせた地元の大物高校生をまんまと他球団に獲られた中日ドラゴンズにとっては、メンツ丸つぶれのドラフト会議となった。


●伊東勤(熊本工高〜所沢高)は西武1位
前年の夏の甲子園で、熊本工の4番・捕手として出場。2試合連続本塁打を放ち、強肩強打の捕手として注目された。

この年、熊本工の定時制から所沢の定時制へ転校し、西武の球団職員の肩書きで練習にも参加。しかし他球団から「ドラフト破りだ」と批判があがり、正式にドラフト指名された。プロでは入団3年目に正捕手になり、日本球界を代表する捕手として活躍。


●山沖之彦(専修大)は阪急へ
高知・中村高〜専修大。高校時代は昭和52年のセンバツに出場し、チームを準優勝に導いた。わずか12人の部員での快挙に、「24の瞳」といわれ話題を浚った。

専修大でもエースとして活躍し、ドラフト会議では金村義明の抽選に外れた阪急に指名され入団。プロでの通算成績は、327試合出場し、112勝101敗24セーブ、防御率3.92。最優秀防御率、最多勝などのタイトルを獲得。


●その他、指名された主な選手は
怪我から奇跡の復活を遂げ通算149本塁打の吉村禎章(巨人3位)、巨人の正捕手として頑張った村田真一(巨人5位)、ゴールデングラブ賞4回受賞の平田勝男(阪神2位)、盗塁王4回と首位打者1回の西村徳文(ロッテ5位)、通算105本塁打の藤本博史(南海4位)、通算55勝の宮本賢治(ヤクルト1位)、通算60勝の金沢次男(大洋5位)らが指名された。





1981年(昭和56年)ドラフト会議の結果

巨人
1位 槙原 寛己 大府高 投手
2位 山本 幸二 名古屋電気高 捕手
3位 吉村 禎章 PL学園高 内野手
4位 橋本 敬司 富士重工 投手
5位 村田 真一 滝川高 捕手
6位 仁村 薫 早稲田大 投手
プロ入り後の成績
 
広島
1位 津田 恒美 協和醗酵 投手
2位 斉藤 浩行 東京ガス 外野手
3位 高木 宣宏 北陽高 投手
4位 木原 彰彦 デュプロ 内野手
5位 上本 孝一 西舞鶴高 捕手
6位 及川 美喜男 東芝 外野手
プロ入り後の成績
 
阪神
1位 源五郎丸 洋 日田林工高 投手
2位 平田 勝男 明治大 内野手
3位 月山 栄珠 印旛高 捕手
4位 福家 雅明 三菱自動車川崎 投手
5位 藤本 雄司 安芸高 投手
6位 服部 浩一 大阪商大 内野手
プロ入り後の成績
 
ヤクルト
1位 宮本 賢治 亜細亜大 投手
2位 加藤 誉昭 都城商高 外野手
3位 中川 昭仁 向上高 投手
4位 小川 淳司 河合楽器 外野手
5位 橋口 美利 宮崎・本庄高 投手
6位 豊 順一郎 中種子高 外野手
プロ入り後の成績
 
中日
1位 尾上 旭 中央大 内野手
2位 浜田 一夫 愛知高 投手
3位 倉田 邦房 大昭和製紙富士 投手
4位 金田 進 丸善石油 捕手
5位 浜田 知明 電電東海 投手
6位 古川 利行 北越商高 投手
プロ入り後の成績
 
大洋
1位 右田 一彦 電電九州 投手
2位 菊地 恭一 東芝 外野手
3位 村岡 耕一 電電九州 内野手
4位 竹下 浩二 興南高 投手
5位 金沢 次男 三菱自動車川崎 投手
6位 山中 博一 横浜高 内野手
プロ入り後の成績
日本ハム
1位 田中 幸雄 電電関東 投手
2位 中原 朝日 九州産大 投手
3位 中村 稔 名古屋電気高 内野手
4位 小田 英明 盛岡工高 捕手
5位 作田 栄和 大商大堺高 内野手
6位 福島 重男 八代東高 外野手
プロ入り後の成績
 
阪急
1位 山沖 之彦 専修大 投手
2位 太田 敏之 仙台鉄道管理局 投手
3位 南牟礼 豊蔵 電電九州 外野手
4位 有賀 佳弘 日産自動車 捕手
5位 岩本 好広 東海理化 内野手
6位 田島 克彦 門司鉄道管理局 外野手
プロ入り後の成績
 
ロッテ
1位 井辺 康二 東海大 投手
2位 田子 譲治 鳥取西高 投手
3位 田中 忠勝 久留米商高 捕手
4位 石井 宏 北海道日大高 投手
5位 西村 徳文 鹿児島鉄道管理局 内野手
6位 吉岡 知毅 近大福山高 投手
プロ入り後の成績
 
西武
1位 伊東 勤 所沢高 捕手
2位 金森 栄治 プリンスホテル 捕手
3位 小田 真也 大丸 投手
4位 串原 泰夫 所沢商高 投手
5位 藤高 俊彦 新日鉄広畑 投手
6位 工藤 公康 名古屋電気高 投手
プロ入り後の成績
 
南海
1位 金城 信夫 兵庫・市川高 投手
2位 赤星 鉄治 九州産交 捕手
3位 矢野 実 大丸 投手
4位 藤本 博史 天理高 内野手
5位 岡本 光 松下電器 投手
6位 川本 和宏 天理高 投手
プロ入り後の成績
 
近鉄
1位 金村 義明 報徳学園高 投手
2位 小山 昌男 天理高 投手
3位 加藤 正次 日本通運 投手
4位 篠崎 宏道 近畿大 内野手
5位 中馬 賢治 共栄学園高 捕手
6位 住友 一哉 プリンスホテル 投手
プロ入り後の成績 





1981年(昭和56年)ってどんな年?
日本レコード大賞 寺尾聰「ルビーの指環」
最優秀新人賞 近藤真彦「ギンギラギンにさりげなく」
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プロ野球の優勝チーム セ:巨人73勝48敗9引 パ:日本ハム68勝54敗8引
プロ野球の最優秀選手 セ:江川卓(巨人) パ:江夏豊(日本ハム)
春の甲子園優勝校 PL学園(バッテリー:西川−田淵)
夏の甲子園優勝校 報徳学園(バッテリー:金村−石田)